2018年がスタートしました。
2017年末から読んでいた本が元旦に読了しました。
出版社 岩波書店
著者 堀川 惠子
署名 永山則夫 封印された鑑定記録
書店でふと手に取った本。
永山則夫には、死刑囚であること、死刑選択の基準「永山基準」のもとになったこと、釧路市にいたこと、貧しい成育歴などしか知識がなかったが、
貧しさだけが殺人を犯した理由にはならないと釈然としなかった。
この時代もっと貧しい生まれの人もたくさんいたはずだったから。
この本で、鑑定医・石井義博先生のていねいな鑑定によって、永山はゆっくり心を開き、殺人に至る動機を語った。
それは貧しさというよりも、家族の闇だった。
彼は寂しかったのだ。あまりにも。そして不幸だった。
石井医師の鑑定が採用されていれば、彼は死刑にはならなかっただろう。
裁判で採用されず、永山自身からも否定され、
失意の中鑑定医を辞めた石井医師の落胆。
死刑が執行されるまで何度も何度も永山が読み返したと思われる精神鑑定書。
それを23年ぶりに手に取った石井医師・・・この部分は感動的だ。
あとがきの著者の言葉が心に残った。
~ 家族との関係をうまく結べない時、第三者の存在によって救われることもあります。「この時、この出逢いがあったから」という宝物を得た人は、たとえそれが家族でなくても道を切り拓いてゆけるはずです。周りの人の心に無関心でいなければ、自分がその第三者となることもあるでしょう ~
私にとって、夫さんは確かにこの宝物だったのだと、つくづく思う。